市原湖畔美術館開館10周年記念展 『湖の秘密-川は湖になった』9月24日(日)まで開催中

大岩オスカール《Yoro River 1》《Yoro River 2》(2023) 撮影:田村融市郎 提供:市原湖畔美術館

高滝湖のほとりに立つ『市原湖畔美術館』にて、開館10周年記念展『湖の秘密-川は湖になった』が9月24日(日)まで開催されている。地域の水害対策と水源開発を目的に建設された高滝ダム。湖底には110戸の村が眠っている。時が流れ、周辺は風光明媚な観光スポットとなった。同展ではジャンルの異なる8人の作家が養老川と高滝湖をめぐる地域の歴史や風土に発想を得て、それぞれが自由に湖の物語を読み解き、独自の世界を作り上げた。

アーティストたちの様々な視点

市原湖畔美術館は、市原市市制施行50周年を記念し、『市原市水と彫刻の丘』のリニューアルにより2013年に誕生した。開館以来、現代アート中心の企画展と地域ゆかりの作家の常設展を開催し、多様なワークショップやイベントを行っている。同館学芸員の戸谷莉維裟さんは記念展について、「『湖の秘密』というコンセプトで、当館や千葉とゆかりの深い8人のアーティストに声を掛け、参加してもらいました。丹念な地域のリサーチを基に作り上げられた作品が、美術館の内外に展開されます。同じテーマでもアーティストによって切り口が全く違う、それが魅力です」と説明する。

岩崎貴宏《知波乃奴乃(ちばののの)》(2023)撮影:田村融市郎 提供:市原湖畔美術館

展示室の入口には、第57回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表などの活躍で注目される岩崎貴宏の空間アート。床から80cmの高さに吊り下げられた数々の透明なプラスチックは、鉄塔やコンビナートの形をして水面を浮遊するかのよう。広島県在住の岩崎は、「養老川を下流から上流へ遡ると工場地帯から緑深い風景にがらっと変わるのが面白い」と、印象に残った風景を作品に落とし込んだ。順路を進むにつれ作品は色彩を帯び、水面を漂う美しい花々や水門が、鑑賞者を上流の湖へと誘っていく。
ニューヨークを拠点に活躍する大岩オスカールは、4月初旬に取材のため来日。マーカーペンと木炭で、高さ3m・全幅約12mの絵画を1か月以上かけて制作した。「真高寺(同市飯給)の『波の伊八』の欄間彫刻が養老川沿いに生息する生き物のキャラクターのようだ」という着想をそのままに、住宅地を走る小湊鉄道や素掘りのトンネルなどの風景に彫刻の絵図を大胆に溶け込ませた。

菊地良太 《)(》2018年

窓のある展示室には、菊地良太の81点の写真と映像作品。「そんなところで何をしているの?」と声を掛けたくなるほど、フリークライマーの菊地は湖の風景の中で神出鬼没。写真と映像で驚きを堪能した後は、周りをよく見回してもう1つのしかけを探すことも忘れずに。

市原湖畔美術館 ☎0436-98-1525
開館時間 平日10時~17時 土曜・祝前日9時半~19時 
日曜・祝日9時半~18時(最終入館は閉館30分前)
休館日 月曜・年末年始(月曜が祝日の場合は翌平日)
常設展 『深沢幸雄とメキシコ《衝撃の出会い編》』同時開催中
HPはこちらから https://lsm-ichihara.jp/

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